読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

えむ式

シンプルに生きるための備忘録のようなもの

「天才」石原慎太郎著を読みました

『天才』(石原慎太郎著・幻冬舎)読了。帯には、「石原慎太郎田中角栄に成り代わって書いた衝撃のモノローグ」と、そして60万部突破したとあります。

 

しかし、このモノローグからは全く天才を感じることができなかっただけでなく、角栄の息遣いのようなものも感じられなかった。天才じゃない者が天才に成り代わって語ろうとしても、その天才を伝えることはできないことがわかったし、田中角栄石原慎太郎の器の違いを歴然と感じてしまった。良し悪しとは別次元の「器の違い」です。

 巻末の「田中角栄・年譜」と「田中角栄が提案者となって成立した議員立法」は良くまとまっていて、内容自体も出来事やエピソードが時系列に述べられてよくできた「田中角栄まとめ」といった体です。

 

おかしかったのは、2か所ほど石原慎太郎が登場する箇所で、「あの石原慎太郎」と、角栄に「あの」を付けて言わせているところ。自分の政治を「金権政治」と批判する急先鋒だった石原慎太郎という意味での「あの」なんだろうけど、著者の少し過剰な自意識を感じさせられました。

 

田中角栄が総理大臣になった頃私は10代だったので、今太閤と呼ばれたのも、またその後金権政治の権化とされたこと、さらにはロッキード事件とリアルタイムに見てきています。

 

でもそれは当時のマスコミが報じることのそのままに過ぎない田中角栄なので、もっと本当の姿を知りたいと思って読んだ「天才」だったけど、その期待には応えてくれなかったようです。

 

ただ、巻末の議員立法リストを見てて、「あれっ」と思って調べたら私の記憶違いが判明しました。実は私は田中角栄は「技術士」の第1号と思い込んでいたのですが、「技術士」ではなく「一級建築士」で、しかも第1号ではなく第16,989号というのが真実のようです。

 

角栄が提案者として成立した議員立法33本のうち昭和25年に公布された2本目の法律が「建築士法」で、その功績から合格第1号とされたものの登録番号は第16,989号。なぜなら登録を忘れていたからとも、審査に時間がかかったからとも言われているようです。

 

と、いうことで「角栄まとめ本」としては役立つこともある石原慎太郎著「天才」でした。